「キヤノン・EOS-1Ds」
β版実写データ



キヤノンから35mmフルサイズの1100万画素CMOSセンサーを搭載した
EOSデジタルシリーズの最新モデル「EOS-1Ds」が登場した。

今回は、短期間ではあるが、そのβ版ボディーでの
実写ができたので、そのデータを公開する。

今回掲載するものは、ベータ版だが、
画質については、
製品版と同等という。
その実力を自分の目で確かめていただきたい。

なお、詳細な撮影情報については、
各データのExif情報をご参照いただきたい



[実写印象・雑感メモ]

・名実ともに、最高級35mm一眼レフ(35mmフィルム)と並ぶ実力を備えた、新世代のハイエンドモデル。

・EOS-1系がベースなだけに、AF測距精度や速度を含めた、一眼レフカメラとしての
基本性能は卓越したものがあり、カメラとしての完成度は上々。

・基本的な使用感は、巻き上げ速度とファインダー以外、「EOS-1D」と同等。

・通常の撮影では、1100万画素もの高画素機であることを感じさせることはごく少ない。

・秒3コマの連写速度は実用十分だが、EOS-1Dを使い慣れていると、意外に遅い印象がある。

・撮影から液晶画面に撮影画像が表示されるまで約3秒かかり、若干焦れったい印象。

・JPEGファインのデータ記録はMicroDrive使用時で撮影から約7秒かかる。



・画質面での第一印象は、35mmフィルムと肩を並べる実力。

・画像はごく素直なもの。ローパスフィルターも装備されており、輪郭強調もOFFのため、
輪郭も自然で、質感描写も上々。全体にデジタル臭さのない、フィルム的な描写をする。

・ISOの解像度チャートでは、水平解像度2000本をほぼクリア。

・ただし、実写解像度はレンズ性能にかなり依存するので、高解像度を望むなら、良質なレンズが不可欠。

・ディフォルト設定では輪郭強調がOFFになっているため、拡大表示すると、
輪郭が若干ナローな感じがあるが、拡大リサイズや回転処理をするには好都合。

・色調はごくごくおとなしいもの。素材としてはいいが、JPEGデータをそのまま利用するなら、
マトリックス設定を活用したい。人物ならマトリックス2、風景ならマトリックス3がオススメか。

・高画素になったこともあって、全画面に対する相対的な画素サイズが小さくなったこともあり、
プリント時のグラデーションは実になめらか。ブローニー版からのプリントを思い起こさせる。

・再現域は十分に広く、なかなか扱いやすいが、それでも正確な露出調整は必須。

・長時間露出時は、ノイズリダクション機能を併用することで、30秒露出でも実用十分。
ただ、「D60」に慣れていると、夜景の連続撮影時には焦れったい印象は否めない。

・ローパスフィルターを2枚装備しており、モアレや擬色も通常撮影では気にならないレベル。
ただし、パターンモアレは皆無ではないので、条件が揃うとやはり発生するが、確率はかなり低め。



・電源はEOS-1Dと同じ専用バッテリー。処理するデータ量が増えているが、
CMOS化による省エネにより、撮影可能な枚数はEOS-1Dよりむしろ増えている印象。



・35mmフルサイズなので、レンズの画角もパースも、すべて35mm一眼レフと同じ感覚。
35mm一眼レフ育ちの人なら、なんの違和感もなく、レンズを選択し、撮影できる。

・懸念された画面周辺部での画質低下はさほど感じられないレベル。

・16-35mmの出番はかなり減るが、望遠側は70-200mmで物足りなくなることも。
D60やEOS-1Dでの70-200mm時と同じような画角で撮影するには、300mmクラスのレンズが必須。

・望遠系の撮影が多い人にとっては、35mmフルサイズより、
センサーサイズが小さめのEOS-1DやD60の方が便利なケースも。

・ただし、CMOSセンサーがD60より大きく、しかも高画素のため、
同じ画角を得るだけなら、「EOS-1Ds」で撮影して、トリミングした方が高画質かも。

・高解像度を望むなら、レンズ性能への依存度は想像以上。
キリキリしたシャープ感が欲しいなら、迷わず高解像なレンズを選ぶべき。

・ただし、ごく一般的なプリントサイズなら、ごく普通の35mm一眼レフ用レンズでも実用十分。
35mmフルサイズになったことで、レンズ解像度への依存度が相対的に軽減された印象あり。

・通常のプリントサイズなら、いわゆる”味のある”描写のレンズを堪能することも十分可能。

・PCモニター上で拡大表示すると、ピントの微妙なズレや、微細なカメラぶれが明確にわかるため、
ピント合わせやブレ対策は万全を期したほうがいい。



・ISO感度はディフォルトでは、100-1250まで設定可能。カスタム設定でISO50にも設定可能。

・ISO400を越えたあたりから、拡大表示するとノイズがみられるが、
高画素なので、プリント時には相対的に小さくなるため、モニター上ほど気にならない。

・CMOSセンサーへのゴミの付き方は、ごく標準的なレベル。
よほど絞り込まない限り、ゴミの輪郭はそれほど立っていない。

・シャッターは35mm一眼レフと同じメカニカルシャッターによる制御のため、
スミアの影響もほとんどなく、超高速な動態撮影でも安心。



・ファインダー視野は「EOS-1V」にごく近い印象。倍率が高いのはいいが、
眼鏡をかけていると、全視野をきちんと確認するのにコツが必要。

・フォーカシングスクリーン上で、ピントの山は比較的掴みやすいが、
それでも、マニュアルフォーカスではピント精度が不足気味。

ピント精度を重視するなら、F2.8以上の大口径レンズを使用し、
高精度な測距ができる、F2.8対応のAF測距点でのAF撮影を積極的にしたほうがいい。



・JPEGファインモードのデータ記録には、1GB MicroDrive時で6-7秒くらい。

・連写は10枚まで。データ量が大きいため、実際の処理時間よりも、
メモリーカードへの書き込み時間に左右される。高速なカードほど快適だ。

・JPEGファインでのデータ量は絵柄により大きく変動。
シンプルな絵柄では3MB台、細かなものでは5MB以上になる。

・画像サイズの設定は、1100万画素モードの下は、1/4の300万画素モード。
「コダック・DCS 14n」のような600万画素モードが欲しいところ。



・オープンプライスだが、店頭想定価格は95万円前後になる模様。
消費税を含めて、100万円をギリギリ切るくらいの設定になるようだ。

・35mmフルサイズも、1100万画素も、EOS-1V系の軽快で高精度なAF測距やタイムラグの短さは大きな魅力。

・きめ細かな描写やグラデーションの美しさは35mmフィルムに匹敵するレベルであり、
事実上、初めて、本格的な自然風景写真が撮れるモデルであり、
プリントを含めた、周辺環境さえ揃っていれば、35mmフィルムから完全な乗り換えができる。

・とはいえ、D60の3倍以上の、おいそれとは買えない価格であり、
本機に見合う高性能レンズを新規に揃えると、200万円近い価格になりそう。

・ベースボディーがフラッグシップ機であり、
ここまで画素数が上がり、サイズもEFレンズ群の上限である35mmフルサイズになった
ことを考えると、そう簡単に買い換える必要に迫られることはなく、3年くらいは安心して使えそう。
毎月3万円強の36回払いに耐えそう(?)なモデル。

・ただし、連写速度や処理時間、専用バッテリーでの撮影枚数については、もう一息という感もあり。
この世界は日進月歩なので、2-3年以内には高速化が図られる可能性も十分あるだろう。

・今後、EOSシリーズのラインナップでの差別化が、カメラとしてのハード面重視になるなら、
同社がこのCMOSをより低価格モデルに導入する可能性はゼロではない点はやや気がかり。

・現時点で35mm一眼レフスタイルでの最高峰を目指す、EFレンズユーザーで、
本格的にデジタルに完全移行する意志のある人なら、導入を検討する価値はある。

ただ、画質は未知数ながらも、年明けにはほぼ半額で、
F80ベースの1400万画素35mmフルサイズモデル
「コダック・DCS 14n」が発売されることを考えると、
ニコンマウントレンズ愛用者はそれまで待つという手もありそう。




定点撮影

EOS-1Ds
ISO100 ISO200 ISO400 ISO800 ISO1250


EOS-1D
ISO200 ISO400 ISO800 ISO1600


EOS D60
ISO100 ISO200 ISO400 ISO800 ISO1000

撮影レンズはEF16-35mmF2.8L。絞りF8での絞り優先AE。
「EOS-Ds」は35mm、「EOS-1D」は28mm、「D60」は24mmに設定して撮影。
マトリックスは1に設定。輪郭強調などはディフォルト設定のまま。

※D60のISO1600カットのみ、高速シャッター不足で若干露出オーバー。



ISO解像度チャート



 ※画面中心部のみ、等倍掲載

※画面中心部のみ、等倍掲載

シグマ50mmマクロレンズで撮影。



(2002年9月24日公開)




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