「CAMEDIA E-10」開発者インタビュー

(第3部)


参加者
(以下、敬称略)

DI事業推進部 部長 小島佑介
DI事業推進部 開発2グループグループリーダー 朝倉康夫
DI事業推進部 開発2グループ課長代理 藤井尚樹
DI事業推進部 開発1グループ 伊東猛
DI事業推進部 開発3グループ課長代 樋口正祐
DI事業推進部 開発3グループ課長代理 鈴木隆
DI事業推進部 開発4グループ課長代理 国重恵二
光学開発部   開発1グループ課長代理  宮内祐司



聞き手
山田久美夫



●画質低下なしに実現できたISO80


山田 あとは、最初発表時から、感度が変わりましたよね。(笑い)

朝倉 はい。

山田 で、すごく平たく考えると、低くなる方は分かるんです。それが、高くなっているんで、何故でしょう。

朝倉 当初は、ISO 50ということで、我々考えていましたけど、CCDも、いろいろ改良を重ねて来て感度が良くなってきたというのと、それからカメラ全体のシステムを合わせてですね、一番いいバランスポイントを取って、持ってきたところ、大体それがISO 80。それが一番いいレベルで、実際各社様のデジカメを見ますとですね、実際に公表している感度と、実際の感度がかなり違っているものも多々あるかなと思いますけど。やはり、使っていただくお客さまに合わせて、なるべく正確な値にしておいた方がいいだろうということで、今80。一番正確なところでは、80になっていますので、そういう形で修正させていただきました。

山田 感度は変わっても、画質は変わっていないという風に、考えればいいんですか。

朝倉 そうです。そうお考え下さい。

山田 その辺が、傍から見ると、画質よりも使い勝手を優先させたのかな、という風に見えちゃうんですけど。

小島 いや、わたしは50でもいいと。画質優先で、と初めから言っていましたから。それが、結果的に80まで行けたということなんで、じゃあ、ちょっと恥ずかしいけど(笑い)、ちゃんと言いなさいと。


●レンズシャッターの限界だった1/640秒

山田 逆に、80になって言われているのが、最高速度が足りないという点ですね。多分誰もが、買う前には言うと思うんですがね。買っちゃうと、多分それほど言わないんですよ(笑い)。で、その辺りは、まずは何故最高速度が、1/640秒になったのかという話と、それを超えるというような、方向というのはどうなんでしょう、という話をお願いしたいんですが。

朝倉 1/640秒というのはですね、まあ今、今日の時点で我々の出せる実力と思っています。何故640かといいますと、今回この物は、レンズシャッター方式をとっておりますので。で、何故レンズシャッターをとったかといいますと、先程小島の方からも話しましたけど、レンズを固定式にして、レンズに合ったCCDという組み合わせとごみの問題ですね。フォーカルプレーンシャッターだとか、ごみの問題があります。それをどうしても避けたかったということで、レンズシャッターをとりました。で、今回レンズも大きいということで、かなりこれについても、技術開発しましたけど、今現在1/640秒というのが、このカメラの許せるぎりぎりのレベルだということで、そうさせていただいております。

山田 レンズ内のレンズシャッターの径って、結構でっかいんですか。

朝倉 伊東の方が、担当していますので。レンズシャッターの径は大きいか。レンズシャッターとしては、相当大きいかなと思いますけど。

小島 これ、この手のモデルでは、一番大きいんじゃない?

朝倉 一番大きいです。

伊東 狙いは、やはりもっと速いところを、狙っていたんですが、うちの今もっている技術、先程朝倉の方が言いましたけれども、1/640秒が限界だったんですけれども。じゃあ、うちになければ、他から調達しても、より速くしようというのも一応検討はしました。ですけど、結局これ以上、最高速が速くなることはなかったんです。それだけ2/3インチで、F2と明るいということで、径が一番でかいと。C-2000ZOOMの1.5倍以上ありますかね。ですから、確かにおっしゃる通り早くしたいんですけど、残念としか言いようがない。今後の課題という形にさせていただいて、どんどん次のレベルを目指して行きたいと思います。

小島 レンズを大きくしちゃったといいますかね、弊害といいますか。

山田 それを使おうとすると、って言う話ですよね。

小島 今のところ、解がなかったといいますか、私も当然1/640秒を認めなかったんですけど。もう何度だめだめと言ったか分からないですけど。それでも最初1/500秒くらいしか出なかったんですよ。少しでも、少しでも出せ、ということで。

山田 たとえば、必要な時だけ、感度を下げると言うのは、やっぱりCCD側がオーバーフローしちゃうんですか。

朝倉 実効感度を下げるっていうのは、今のシステム上では非常に難しい、技術的にも難しいですね。

小島 NDフィルター使うみたいな形になりますね。


●ズーム時のレスポンスは消費電力とのバランスで

山田 そして、このレンズなんですが、「ズーム」といってますが、純粋なズームなんですか。それともバリフォーカルで、ズーミングによるピントの移動を電子的に補正しているというタイプなんでしょうか。

朝倉 どちらだと思います?

山田 いや、使っていると、絶対、後者だなと思うんですけど。(笑い)

宮内 分類上は、バリフォーカルです。ただ、バリフォーカルを感じさせないように、通常のズームレンズと同じ感覚で使えると。まあ、ちょっと難しい話になりますけれども。

山田 たとえば、ぐっとズーミングした時に、一瞬遅れてついて来るじゃないですか。あの辺のレスポンスって、まだ良くなるんですよね。そのうちというか。

鈴木 ファームウエアの制御の側で、決まってきているんですけれども。当初、早かったんです。ちょっと電力的な問題がありまして、あんまり速く動かすとですね。ええ。かなり高速に動かしているものですから。とくにTFT液晶がついて、スルー画が出ているんですね。で、重なってしまうと、だいぶ辛いなというのがありまして。やむなく速度を落としたという経緯はあります。

朝倉 逆にそうした方が、トータルでは良いかなと。あんまり厳しい条件で、すぐにバッテリーチェックに引っかかってしまう。で、撮影枚数が少なくなるよりは、なるべく沢山撮れて、それでまあ、ほとんど問題ない、ということで、バランスをとってそうしました。


●重視している”単三”へのこだわり

山田 先程もちょっと言いましたが、予想以上に電池が持つんですが、その辺の秘密というのは、何かあるんでしょうか。どう言うんでしょうか、光学ファインダーを使うケースが多いからというのが、ひとつあると思うんですけど。それ以外で、何かあるんでしょうか。

小島 リチウム使われました?単3型リチウム。あれ、実はすごい良いんですよね。

山田 うん。いいですよね。

小島 だから、多分今の、あれを2本使かいしているカメラって言うのは、絶対に一番持つんですよね。

朝倉 まあ、電源としてもですね、このカメラは電源の効率を上げる設計をしています。やっぱり、それなりに400万画素で、高速でASICを動かして行きますんで、電力消費というのは、黙ってても多くなってしまいます。そういうことで、いかに電池のエネルギーを沢山使うかということで、それだけ効率の良い電源には少し力を入れてやってまいりました。

小島 オリンパスって、新しいものを、まあこれだけが新しい訳ではないんですけど、そのリチウムの単3にしても、やっぱり電池メーカーと一緒に開発しているんですね。だから、元々、銀塩カメラにリチウム電池を一番最初に使ったのも、オリンパスですし、みんなその辺をね、結構冒険するというか、一緒にやるって言うことは、意外と我々提案しているんですよね。今のところ、皆さん付いて来ないけど。私は単3型っていうのは、世界中どこでもっていうのは、本当にプロの方に、やっぱりそうだなって絶対思ってくれる時があると思うんですよね。

山田 うん。そうですよね。

小島 まあ、やっぱりそうは言っても、ACアダプター持って、アフリカやなんかやっている人もいますけれども、でも、やっぱり単3ほど楽なものはない。

山田 やっぱり、単3へのこだわりって、かなりあるんですよね。

小島 今のところはね。ただ、本当に「小型化、小型化」でね、悩んでいますけれども、それでもまだこだわっていますね。

山田 僕自身の経験で、海外取材に行って、初日に専用の充電池が飛んだっていうのが、実はあって(笑い)。まあ、カメラじゃなかったんですけどね。で、もちろんいつもカメラを何台か持って行くんですが、その中で必ず単3でまともに動くモデルを一台入れるんですよ。そうしないと仕事上どうしようもなくなるんで。そういう意味では、個人的には単3で動くっていうのはすごくありがたくって、それは是非とも今後も踏襲していただければ、と思うんですが。

朝倉 特に、上級機ほど大切な仕様でしょうね。

山田 そうでしょうね。

朝倉 どこでも入手できる電源も使える。大容量もある。いろんな多種の電源に対応できると。非常に、良いというか、セールスポイントになると考えております。


●マイクロドライブへの対応は?

山田 そうですね。あと、それにちょっとだけ関係するのですが、「マイクロドライブ」って、正式に対応はしてないんですよね?

朝倉 はい。今日の時点では、まだ正式に対応しているとは言っておりません。というのは、マイクロドライブもいろいろございますけれど、電源の問題ですね、非常に電力的には相当電気を食います。で、そういう条件と、あともうひとつカメラが電池で動いた時にですね、電池がなくなります。なくなった時に、マイクロドライブ側がどういう風な動きをするのかというのが、まだ完全に明確になっておりません。そういうことで、その検証が終わるまでは、お客様にご迷惑がかからないように、使えません、保証できませんという形で、公開させて頂いております。まあ、引き続きやっておりますので、いろいろその辺に付きましては、検証を。もう少し明確になりましたら、また違った形で、発表できるかと思っております。

小島 現実には使えていますけど、我々は絶対大丈夫ですと保証は出来ないということです。

山田 ということですね。僕も結構1GBカード、入れっぱなしで撮るんで。で、僕自身マイクロドライブで、トラブったことがまだないんで、あれですけど、一言「大丈夫だよ」と言ってくれると、すごく安心なんですけど。(笑い)

朝倉 じゃあ、もうE-10にもマイクロドライブ入れて、お使いになりました?

山田 ええ。そう、入れてます。で、マイクロドライブ使っても、思った以上に電池が持っているんで、特に1GBタイプは、340MBの旧タイプほど電力食わないんで、それはあるんですけど。


●再生の遅さは今後の課題

山田 これから先は、あまり良い話じゃない方を、いくつかお聞きしたいんですが。まずは、再生ってこんなに遅いんですか。っていうのを、是非ともお聞きしたいんですが。(笑い)

鈴木 そうですね、やっぱり400万画素の場合、重いですねっていうのが、一言ですね。で、今回の製品につきましては、ご指摘の通り、ちょっと快適さがないのかもしれませんけど。今後につきましては、ASICのファームだけではなく、ASICの部分から見直してですね、高速化ということに取り組んで行きたいと思っております。そこは、是非ご期待していただきたいなと思います。

小島 まあ、やっぱりこれだけの規模になると、いろんなASICにしても、何本も走らせてありまして、で、やっぱり間に合ったもので、ということにならざるおえない。ですから、こちらが出来た時に、まだ変えられるというのは随分あるんですけど。まあ、商品というのは時期というのが非常に大切ですから。そこのところで、ちょっと妥協してもらってみたいなことですね。

山田 そうですね。でも、フォトキナに出せて良かったですよね。で、再生に関しては、そのうち乞うご期待と言うことで。ただ、何とかしてくださいね。(笑い)

鈴木 理解しております。


●コスト面で難しい、視野率100%の光学ファインダー

山田 それから、ファインダーの視野率なんですが。現状で、光学ファインダーが95%、液晶の方はどうなんでしたっけ。

小島 液晶の方は全部見えているんでしょう?

山田 液晶の方は、100%なんですか?

朝倉 100%です。

小島 全部見えているよね。

山田 で、光学ファインダーの方が、まあ、95%でいいと言えばいいんですけど、もうひと頑張り出来るのかどうか。で、出来た場合、100%にすると調整が大変だから、値段上がっちゃうよと言われたら、また困るんですけど。その辺りはどうなんでしょうか。

朝倉 多分、これ以上上げるというと、確かに、調整、非常に微妙な、15ミクロンとか、10ミクロンオーダーの調整が出てくると思います。現在は、部品精度を極限まで高めて、必ず見えている範囲は写る、というのを保証できるぎりぎりで造っています。それが今、95%ということですね。さらにプロの方は、もう少し視野率の高いものを、98%とかそれ以上のものが、どうしても必要ということになったら、そういうものを、特別に調整機構を入れて行くと。顕微鏡を見ながら調整するとか、そういう世界になるかと思いますけど。そういうことになると思います。まあ今回は、いろんなとこのバランスということで、ぎりぎり加工能力の、ぎりぎりで入れておりますけど。


●シャッター音は「OM-2N」と「L-1」

山田 あとは、シャッター音の話なんですが。(笑い) あのシャッター音って、好き嫌いはあると思うんですが、そもそもあれは何かの音なんですか。

朝倉 そうですね。今回この機種には、2種類のシャッター音を用意させていただいております。これはメニューで、設定できますけど、1番と2番の設定がありましてですね、1番の方が、弊社の「L-1」、35mmの「L-1」という機種の音です。2番の方が「OM-2N」の音です。それぞれをベースにして、少しイコライジングをかけまして、改良した音になっています。

小島 やっぱり、人の音は使えないというのがありましたね。

山田 そうですね。でも、どっか使っているところがありますけどね。

小島 うーん。まあやっぱり本来、著作権とは言わないけど、まあ問題だろうと思いますね。まあだから、このクラスだから、そういう音に慣れた人に一番合ったもの、というのはあるかもしれませんけど。うちも、辛うじて一眼やっていましたから、(笑い)その音を活かしている。まあ別に評判がわるかったわけではないんで、その音もね。


●正確なシャッター音のタイミング

山田 その音の出るタイミングっていうのは、ほぼ完璧にシャッターが切れているときと、同じと考えていいんでしょうか。

朝倉 そうです。ここは、こだわったところでですね、シャッターが、いわゆる一眼レフではシャッターが開くといいますけれども、切れる瞬間ね。開くタイミングに合わせて音が出る、という風にやっております。

山田 かなりこだわったんですね。

朝倉 そこはこだわっています。で、さらに長秒時の時にはですね、シャッターの開く音と、閉じる音を個別に出していくというところで、これは使っている感覚を、なるべく銀塩に近付けて、慣れているもので行きたいと。お客様が慣れているもので。

小島 私もね、本当にそんなものを何で入れるのっていうのが、一番最初確かにありましたけど。撮影会行ってみて、やっと本当に良く分かったと。要するに、モデルが切られたかどうか分からないというのが。やっぱりそれは今までの習慣上、どうしても要るんだなと。ということはね。音はしないにこしたことはないとは、本当は気持ちとしてはあったんですけれども。

山田 基本的には、もうちょっと音は大きくならないかなと思うんですけどね。やっぱり、屋外で女の子を撮っていると、聞こえないんですよ、相手が。

小島 これくらいではだめですか。

山田 うん。まだ聞こえないって言われました。

小島 OMは静かにっていう思想だったから。(笑い)

山田 確かに。あとは、これユーザーがサンプリングして入れるっていうのは、出来ないんですよね。

朝倉 (笑い)どうですか、確認してください。

鈴木 いや、技術的には十分可能だと思いますけど。これはちょっと、この機種に関しては、あれですね。それが出来ると楽しいですね。

山田 楽しそうですよね。

鈴木 そういう話も開発内容では結構あって、盛り上がっていたことがあります。ネット上でも、結構皆さん自分で音を入れれるといいねというお話が、沢山出ていますね。将来そういう機種も出来るんじゃないですか。


●製品版で改良されたシャッターストローク


山田 なんかこう、すごくまじめな機種なんで、もうちょっと遊べるところが欲しいなというのが、正直ありますよね。あとは、一番実は気になるのは、シャッターボタンなんですが。第1ストロークと、第2ストロークで感触が変わらないですよね。これっていうのは、どうなんでしょう。変わらないと言うと、言い過ぎかもしれませんけど。要は、半押しの時に、たとえばFの一眼だと、第1ストロークの時は少し重くなって、それから押し切るっていう感覚で、慣れている人にとっては、ちょっと違和感があるのかなという気がするんですが。

朝倉 まあ、一眼レフの使い方っていうのが、1段目を押して、そこでAFロック、あるいはAEロックかけて、その形で粘る、粘りって言いますけれども、粘った形で構図を決めて切ると。そこの位置が、きっちりまず分かるというのが、重要だと思います。それから、2段目についてはですね、高級なカメラ、プロが使うカメラほど、深く押して、押し切れると。ブレないというのが、これがまた重要かなと思います。その両方を兼ね合わせたという形を、やっておりますけど。一時、ショーとかで出したサンプルで、少し軽めの物等ございましたけれども、生産品ではその辺の、1段目のコシですね、この辺を付けるようにしております。

山田 製品版までに、この点は大分良くなっているんですね。

朝倉 ええ。これ、各社さん、一眼レフをやられているメーカーがございますけど、これいろいろ各社違うんですけれども。いろんな方に聞いた話では、このカメラE-10はニコンさんに近いね、という話がございますね。もう少しキャノンさんの方がいいとか、もうちょっとミノルタさんに近付けた方がいいんじゃないかとか、いろんなご意見は伺っておりますけれども。
 当社は当社で、昔、OM-4をやりました時に、やっぱりシャッターの感覚というのをこだわりまして、その流れも少しありますね。うちの主張というところも。非常にこれが好きだという人もいますし、もうちょっと調整した方がいいんじゃないかという意見もございますね。これについては、いろんなご意見が出てきますので、それを集約して、また次のステージには、もう少し、少しづつ改良して行きたいと思っております。ただ、生産品としては、かなりのレベルまでは来ていると思っております。

山田 確かにそれは、触って納得しました。はい。テスト機はスカスカだったもんで。心配だったんですが、安心しました。やっぱり、こだわってますね、最後の最後、量産ギリギリまで・・・・。


(2001年1月22日公開)
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※以降、続編に続く・・・
 (続編では、「E-10」の絵作りなどついてお届けします)



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