「CAMEDIA E-10」開発者インタビュー

【第1部】


参加者
(以下、敬称略)

DI事業推進部 部長 小島佑介
DI事業推進部 開発2グループグループリーダー 朝倉康夫
DI事業推進部 開発2グループ課長代理 藤井尚樹
DI事業推進部 開発1グループ 伊東猛
DI事業推進部 開発3グループ課長代 樋口正祐
DI事業推進部 開発3グループ課長代理 鈴木隆
DI事業推進部 開発4グループ課長代理 国重恵二
光学開発部   開発1グループ課長代理  宮内祐司

聞き手
山田久美夫


●あえてレンズ一体型にこだわった「E-10」

山田 今回は、開発者インタビューのために、お集まりいただき、ありがとうございます。

 まず、お話をうかがう前に、僕自身がE-10を使った感想を先にお話したいと思います。こういう場なので、下手なことをいうと、生きて帰れないと思って言いますが(笑い)。
 僕自身はもともと「C-1400L」とか「C-2500L」が、なかなか、苦手なカメラだったのです。で、正直なところ、当初は、あの延長上にあるカメラだという風に思い込んでいたんですね。絵づくりにしても、操作性にしても、正直あまり期待はしていなかったんです。

 それが実際に触って、実際に撮ってみると、僕の持っていたイメージと全く違っていたんですよ。思ったよりも、ずっと本格的で、操作性もよく考えてあるし、画質的にも僕が正直苦手だった部分がかなり解消されていたので、素直に良いカメラだと思っています。

 あとは、僕自身このところ「S1Pro」とか「D30」を使っていて、画質は良くても、いつも重いカメラばかりじゃ嫌だなという思いがあります。つまり、デジタルの時代になっても、本格的に撮るのに、また35mmの時と同じ苦労はしたくないなというのが正直あって、やっぱり大きいCCDはいいけど、レンズはまたあの巨大なのを何本も持たなきゃいけないという点があるわけです。また、被写体深度の問題で、結構シビアですよね。
 そういう部分は、割と小さめのサイズのCCDのほうが有利な部分がかなりあるという風に、大型CCD搭載のデジタル一眼レフを使って、逆にそういう風に思えたのです。そういう部分まで含めて、結構「E-10」のような分野って面白いなという風に思っています。だからこそいろいろお話をお伺いしたいところもあるし、疑問に思っているところもあるし、ここもうちょっと何とかならなかったのかなと思っているところもあるので、その辺りで今回お願いしたとという風に理解して頂ければ、という風に思っています。
 で、このような開発者インタビューの場合、結構本音が聞けるというところで、読者の皆さんが興味を持っていただけるので、なるべく本音でお話して頂きたいなと思っています。

 まず、すごく素朴な疑問なんですが、今回、僕が最初に思ったのは、今回の「E-10」は、最初に「C-1400L」があって、「XL」があって、「C-2500L」があって、その延長上のモデルというイメージがすごく強いのですが、ただ実際出てみるとかなり違う。僕が思ったよりも、明らかにワンランク上という風に思っているんですけど、そういう風になった経緯と言う辺りをお話して頂けれなという風に思うんですが。

小島 あの「C-1400L」の頃というのは、140万画素モデルを出すことに意義があった。何としても、130万、140万出さなくちゃいけない、その時に最適な絵は何だということになると、やっぱり2/3インチだという風なのが、当時のひとつの技術の限界だったと思っているんですね。そういう意味で、やっぱりその段階で、デジタルの最高の絵を見せたいというつもりがあって、当時1400を起こしました。
 それから1400XL、それから2500と、このあたりはまあほとんど同じ考え方で造ってますから、ただCCDだけを変えていくというところですね。ただその間にやっぱりかなり皆さんの意見が累積されてまいりましたので、本当はですね、やっぱりデジタル一眼レフというのは、一眼レフというとからには交換レンズ式というところに立ち入っていかなければいけないのではないかと思いながら、模索していたわけです。

 けれども、今回、設計上はレンズを切り離せるようになっていますけど、まだレンズを切り離すのは時期尚早と言
う結論に達しました。

 ただ仕様はみなさんから言われた、カメラ好きのみなさんが「一眼として持つなら・・・」というところで、できることは全部やりましょうという考え方で追い込みましたから、大半の皆様には、仕様上の問題はご理解頂けるかと思います。
 後は、画質だとかそれぞれ今まで自分で使っていたカメラとの差だとかがありますから、多少の違和感やなんかあっても、これだけ頑張れば認めて頂けるのではないかなと。そんなことで一応企画はしました。少なくとも、確かにおっしゃる通り、1400とか2500とは意味合いが違う。やっぱり本当のカメラ好きといいますか、デジタルの最高峰を、やっぱり我々なりに目指して行くと。しかも、”コンシューマー価格で”というここが重要なんですけど。少しでも多くの方に一番良い画質を使ってもらいたい、という選択肢がこれだったというのが今のところの開発の意図だったんですね。あと補足があれば、言ってください。いろいろ思い入れで造ったのがあるでしょうから。

朝倉 私、このカメラのまとめ役をやらせて頂いています。デジカメあるいは銀塩カメラといろいろ区分けされていますけれど、このカメラをやるに当たって、これだけ良い画質を出せるものであれば、もうそういうデジカメということを意識せずに、カメラとして使い易い、本当に撮る人、撮影をしたい人が意識せずに自由にという、そう言うカメラを狙いたい、とそう言う風に思って開発してまいりました。

●先に見えていた400万画素の世界

山田 この400万画素という画質は早い時期に見えていたんですか。

小島 まあ2500の時も、1400の時もいろいろ反省がありまして、やっぱりそう言う意味では、インターレースの場合だったらこの位、プログレッシブだったらこの位のエレクトロンがなくてはいけないというのがありまして、この辺なら行けるんじゃないかと。まあ、確かに小さいサイズで、結構実現できていましたから。
 ただ我々はピクセルサイズについて、はじめから言い続けているんですけれども、基本的に3.5ミクロンを超えちゃいけないと思っているんですね。まあ画質という意味ではね。そんなことがはじめからそういうことを散々CCDメーカーにも、我々から教えているんですけれど、それでも何とかできるのではないかと、CCDメーカーのみなさんはおやりになるけれど。でも、そう言う意味ではそこまでぎりぎりではなくて、やっぱり一眼レフですから、多少のゆとりを持って出来る範囲ということで、一応から仕様を出して指定して造ったCCDです。まあ結構途中段階では、CCDメーカーも造るのが難しくて、我々の仕様がきつかったこともあるのですけど、でもまあ何とか頑張ってやってくれました。

山田 あのー、素朴な質問なんですが、なぜ400万画素なんでしょう。

小島 銀塩のひとつの目処が、私はこのサービスサイズでは130万で十分と思っていたんですが、200万になってみたらまたそれなりに、いいところがあって、でもやっぱりこのデジタルカメラユーザーは、銀塩と違って逆に伸ばすわけですよ。これが銀塩と大きく違うんですね。条件が悪いだけに、デジカメのユーザーは伸ばしちゃう。そう言う意味では、A4のサイズということを考えると、「最低400万は必要だ」と逆に、ということになっちゃったんですね。どうもA4がひとつの基準になっているんです。本当の意味で満たすためには、やっぱり600万位必要かなというのがあるんですけど、今のCCDの大きさと、レンズのマッチングと、いろんな合計をしてみると、2/3でやろうとするとさっき言った通り3.5ミクロンを切っちゃうんですね。だからそうなると、画素数だけあって、画質が良くないということになりますので、まあ落ち着くところに落ち着いたといいますかね。これならA4でも大丈夫だろうと。まあちょっとこちらの方が遅れたんですね。プリンターが先に出しましたから。

山田 先行発表されたA4昇華型プリンター「P-400」と連動して考えていらっしゃったんですね。

小島 元々そうなんです。

山田 使った感想としては、1/1.8インチの334万画素CCDがあまりいい印象がないというか、まあ使いこなし切れてないのかもしれませんけど、そう言うところから見ると、2/3インチの400万画素で良くここまでやったなというのが正直なところなんですが。

小島 あの技術的には、このCCDは、1/2インチの200万とピクセルの大きさが同じですよね。あれが進歩したものですから、結構良いんじゃないかと。3.4ミクロンぐらいなんでしょ330万だと。

一同 そう。

小島 だから、1/1.8インチ300万画素CCDと全く同じ考え方で、500万というのが今開発されているようですけど、そこはずっと疑問持ったままなんです。でもまあ多少技術の進歩があって、見られるかなというところには来ていると思うんですけど、やっぱりラチチュードということを考えると、「やっぱり一眼のこのクラスにはゆとりが欲しいよね」ということで、「400万で良いんじゃないの」と言うのがあれですけど。
 まあやっぱり我々にとっては、何でこれだけのものにして、交換レンズ式にしないんだというところが一番疑問で、最初からいろいろ皆さんに言われていますから、これだけは言っておかなければいけないと思っているんですけど。
 やっぱり前の時もそうだったんですけど、レンズとCCDのベストマッチングということで、なかなかいろんなレンズを合わせるのが難しいよ、というのがひとつあるんです。それから、実際にはこの大きさだって、35mmに比べたら1/16位ですから、レンズは1/16位に本来なっていいところがこんなに大きいわけです。ですから、それだけそのCCDを活かすためには、これだけ良いレンズを造らなければいけないというところがありまして、ベストマッチングをひとつ考えました。
 それから、よく再三いろんなところで指摘されるように、やっぱりコンシューマーには、今のところはデジタル一眼は向かない。それはやっぱり、カメラボディーにごみが入ってしまう、あるいはカメラボディー自身からごみを生じるということがあって、フォーカルプレーンシャッターが難しいということと、交換式が難しいと。
 プロフェッショナルは自分で拭いたり、あるいはケアしてくれる人がいますけれども、アマチュアはそうはいかないというところで悩んだ末、レンズ交換式ではなく、くっ付けました。それともうひとつは、2/3インチで交換レンズを沢山造っていいのかというのがありまして、やっぱりユーザーにとってはもうちょっと大きいフォーマットが欲しいだろうし、実際にはこれで十分だと思っていているんですけど、システムを買う人はさらに夢を追っかけるから、もうちょっと上でやったほうがいいんじゃないかと。ただ、APSになったら、もうシステムは成り立たないと私は思っているんですよ。

山田 たぶん、たとえば1インチ前後のもので落ち着くという風な雰囲気なんですか。

小島 そうですね。1インチから1.5まで行かないでしょうけど、そんなようなレベルで。いまのところ35mmの大きさまでしていいということになったら、4/3インチくらいまではいいかなというのはあるんですが。それでもAPSの1/4ですから。

●研究中の28mmからのズームレンズ

山田 そうですね。4倍ズームで、割と35mmを使い慣れている人から言うと、たとえば画角からいうと28mmからの4倍が欲しいとか、28mmだとやっぱり5倍が欲しいねとかという風な話が当然出てくるとは思うのですが、そのあたりは企画の段階ではあったのですか。

朝倉 企画の段階では、まず夢を追いかけますので、もういろんな案がありました。当然28mmだとか、もっと広角からとか、望遠ももっと先まで欲しいとか。最終的にまとめていく上で、設計的に、やはり性能を維持できるもの、それから商品として大きさ、その辺が維持できるもの、かつお客さんが使い易いレベルということで、こういう形にまとめていきました。今日は、その光学設計の方をやりました宮内が来ておりますので、宮内の方からコメントをお願いします。

宮内 宮内です。今のその大きさとかですね、商品レベルという話はいま朝倉から話があった通りで、当然やっぱり28mmとか、広角が多いと太くなりますし、それから長いほうを狙えば長くなります。まあ当たり前の話なんですけれども、いろんな最初は夢を追いかけるという話がありましたけれども、いろいろ夢の中から現実的なものといって良いのかは分からないですけれども、商品で考えて一番落ち着いたところが、今このスペックだという形です。

朝倉 ただ、これを選ぶ時に、どういうレンズにしようか選ぶ時にどうしてもこだわったところというのは、性能は絶対に落としてはいけない。それから、やはりCCDにたくさん光を与えたいというところで、F2.0の明るいレンズにした。ここは選択的に絶対譲らなかったところです。そういう観点で、最終的にこういう形にまとめさせて頂きました。

山田 たとえば、近い将来28mmからのズーム付が出るなんてことはあり得るんですかね。

朝倉 どうでしょうね。 ちょっとコメントしにくい質問ですね。研究はしておりますけれども。

●専用設計のエクステンションレンズ

山田 個人的には、是非欲しいなと思うんですけど。ただ、今回はコンバーターといういい方はしていないんでしたっけ。

朝倉 エクステンションレンズと。

山田 そう。エクステンションレンズという形で、ワイド系と、望遠系と一緒に同時に発表されているわけですけど、その当たりは最初から専用設計というか、そういう形で、かなり追い込んだ形で造られているんですよね。

宮内 もう、設計は、専用設計です。

山田 ということは、付けても画質には十分自信があると。

宮内 ええ、もちろんそういうつもりでやっております。

山田 というのは、たとえば「C-2500L」の時のワイドコンバーターだと、若干直線がぐるぐる曲がったり。

宮内 エクステンションです。はい。

山田 はい。あとは、ゴーストもあらぬところから入って来たり、そういうところがあったんですけど、今回は安心して良さそうですよね。

宮内 お勧めできると。ゴーストに関しては、撮影レンズも同様ですけれども、オールマルチコートということで、ゴーストとかフレアは極力なくすような仕様という構成になっておりますんで。その辺は朝倉の方で、相当こだわったところではあるのですけど。

山田 忘れないうちに聞いちゃいたいのですが、あの巨大な望遠のエクステンションレンズがありますよね。(笑)あれは正直なところシステムとして欲しいなというのはあるんですが、どういう目的で造ったんでしょう。

朝倉 やはりいろんな撮影をなされる方ユーザーの方がたくさんいらっしゃる。その中で、ワイド系は28mmまではないとだめだろうと、それからテレ系の場合ですね、望遠側は普通のお客さんは200mmくらいまであれば、多くのシーンを撮れます。ただし、やはりもう少し望遠ということで、手持ちで撮れるぎりぎり限界が、400mm程度かなと思いました。そのくらいで撮るシーンというのは確かにあります。ということで、我々としても少しチャレンジしまして、400mmと、まあ実際には420mmになりますけど、3倍で、それをやらせて頂いています。これをやるにあたっては、技術的にも従来のコンバーターとは違った光学系で、新しい光学系で今やらせて頂いております。

山田 すごくお金かかってますよね。

朝倉 そうですね。

山田 そんなに量売れるとは思えないので、良くやったなというのが正直なところなんですが。

朝倉 あの大きさで、F2.8ですから。

山田 ですよね。

朝倉 銀塩カメラで、400mmF2.8といいますと、重さが4Kgも6Kgもある巨大なレンズですからね。それに比べれば、お求めやすい価格で出せるかなと思っていますけれども。

小島 まあ、一眼レフというからには、やっぱり可能性というか、拡張性を一応付けておかなくてはけないというのがありまして、それにそのコンバージョンじゃなくて、エクステンションの方も、あれを持ってこられた時は私もぞっとしましたけど(笑い)、まあいいだろうということで。少しでも、実際に買う買わないは別として、こういうことも出来るんだなと思っていただければ、それだけでいいのではないかと。で、中には誰か買って頂いて、それを皆でまわし使いでもしていただければいいかなと。

●ぜひ欲しい、単三タイプ縦位置グリップ

山田 前の2500とかの時と一番違うなという印象は、システムとして考えられているんですよね。縦位置グリップといった方がいいんでしょうか(笑)。その、結構値の張るやつがありますよね、それも早い時期から考えられていらっしゃったんですか。

朝倉 これは、パワーバッテリーですね。これはやはりデジカメというのは、カメラだけで電源は食う場合がありますし、とくに背面の液晶を点けっぱなしにして撮影する場合、それから再生を連続した場合、そういう使い方をなされる方が、電池を頻繁に変えるというのは、シャッターチャンスを逃してしまう、障害になっています。それを防ぐためにも、そういうヘビーユーザーの方には、やっぱり良い電池、大容量の電池を使ってもらいたいということで、このカメラの、もうスタート当初から同時に考えてきました。

山田 もしかして、当初はもっと安くなる予定だったんでしょうか。

朝倉 そうですね。値段はまだ最初の頃は、詰まり切っていなかったんです。そういう点では。むしろどういう電池が良いのかというところに非常に神経を注ぎました。これだけ電池の容量が大きくなると、もし万が一何かあった時に非常に危険になります。そういう点で、今回はどういう電池が一番安全か、将来に向けて当社が採用する場合に、安全な電池、要するに火にくべても爆発しないとか、潰しても絶対燃えないとか、そういった安全な電池ということで、今回リチウムポリマ電池という新しい電池ですけれども、そういった物を探して、それで何とかやっていこうということで、開発を進めて参りました。

山田 個人的には、それのたとえば単3電池版みたいなもの。要は縦位置グリップは欲しい。縦位置シャッターは欲しい、だけど正直その値段は出せない(笑)。で、すごく理想としては、納得できるところがあるんだけど、割とそういう声が多いんで、その辺りをなんか考えて頂けると嬉しいなと。いかかでしょう。

小島 いやいやいいご意見を、いただきました。

朝倉 お客様からのいろんなご意見を携えて、これからの開発に反映していきたいと思っています。

●こだわりの高品位外装

山田 正直なところ、単3って思った以上に持つんで、撮ってみて。このくらい持てば、乱暴な言い方ですけど、下に電池なくてもいいから、縦位置のシャッターボタンだけ欲しいとかね。そういう風なところが割と正直なところなので、そういうのも考えていただければなという風に思います。あとは、外装なんですが、今回は結構質感がいいというか、人によっては「D30」よりもずっと高級感があると、そういう風に思うと思うんですが。その辺りのこだわりというのは相当あったのでしょうか。

朝倉 これについては、外装を担当した藤井の方から喋らせますので。

藤井 えーとですね。そこにいくらかかるかという点だと思うんですけど、一番最初はまずひとつ、先ほど小島部長から「コンシューマーな価格で出すんだよ」というような話がありまして、最初に我々が企画した。本当に最初の段階くらいですね。
 骨組み決める段階では、とにかくお金のことはあまり考えなくてもいいよと。

一同 おー、すごい。

藤井 まあすぐに変わったんですけどね(笑)。ある程度決めるまではとにかくお金考えずに、とにかく良いものを造ろうよと言うような話で、そこからスタートしているというのがひとつあると思います。その後、自分の首を絞めたというのがあるんですけれども。あとは先程からデジタル一眼というか、銀塩に対してという話があるんですけれども、私が今まで思っていたのは、これまでデジタルカメラというのは、最初はやっぱり銀塩カメラと比較できるところまで何とか来ようといったような、同じ土俵で比較できるようなものを造ろうと言う話が出て、ある程度までくると、だんだん比較していいところまで出てきて、次にはもうほぼ同じかそれ以上のものというような話が出てきているのです。
 やっぱりその中でメインになっているのは、今まで話に出てきている画質とかですね。まあそちらの方がメインになってて、銀塩並みの画質を狙うとか、そういったような話がメインになって、どうしても操作性とかですね、質感とか、高級感とかですね、その辺のところはまあ銀塩並、銀塩超えたよといったようなところのなかでは、ちょっと遅れたかなといったようなところがあるのです。で、是非その辺のところもですね、この際同時に追いついて、追い越したいというところもありました。

山田 実際、正直なところ、「C-1400XL」から「C-2500L」になって、結構がっかりしたんですけど(笑)。「C-2500L」、担当してないですよね。

藤井 えーとですね。(笑)まあこれは別に、だからどうという話でもないんですけど、本当の偶然なんですけど、このカメラは担当した我々のメンバーで、どちらかというとこういう一眼レフタイプは初めてやったというメンバーがかなり多くてですね、どちらかというと今までコンパクト系のカメラをやってた人が多くてですね、じゃあ今回こうゆうのをやろうといったようなところですね。まあかなり向こう見ずなところもあったかもしれないですけど、まあそういったところもあります。だから、まあたまたまなんですけど、新しいメンバーが、新しい感覚でやったというところもあると思います。

●元銀塩カメラ担当のメインスタッフ

山田 開発メンバーの過去の話がでたところで、みなさんがこれまで携わってきたカメラについて、ご紹介いただけますか?

朝倉 今日のメンバーはね、偶然なんですけど、みんな銀塩カメラをかなり携わっている人が多いんですよ。まあ、藤井はちょっと少な目だけど、それ以外はかなり銀塩の経験の方が長いメンバーですね。実際このカメラをやったメンバーっていうのはですね、銀塩をやっていたメンバーもいますし、それからビデオとか、そういう電子画像系をやってきたメンバーもいますし、それからMOとかですね情報機器関係をやってきたメンバーの混成部隊なんですけど。今日、たまたま偶然なんですけど、かなり銀塩系、銀塩経験が豊富なメンバーが揃っています。
山田 では、それぞれ前に何やってたか一言、頂けると、嬉しいんですが。

朝倉 じゃあ、私から言いますけど。私は、銀塩カメラを17年くらいやっておりまして、最初は当社のOMシリーズのボディ関係の設計、それからモータードライブの設計等をやってきました。その後、Lシリーズですね、「L-1」とか、「L-3」とかLシリーズをやってきました。その後、コンパクトカメラですね。OZシリーズ等をやってきまして、その後APSですね、APSの「センチュリオン」というのをやってきまして、それが終わった頃に、デジタルに引っ張られたと言うか、銀塩をクビになりましてですね、それで今のデジタル関係に来まして、C-900ZOOM系をやっておりまして、その後、まあE-10を含めて、デジタルカメラをずっとやってます。

山田 OMは、どの辺りですか。

朝倉 私がやりましたのは、「OM-4」の一部とですね、あとOMの20、30、ああいう二桁シリーズ、この辺が主でしたね。

藤井 私が入社した時は、まだ当社がビデオムービーカメラをやってた時代で、ちょうどそういった、ビデオ関連の部署に配属されたので、しばらくビデオ関連をやってて、そこで、フロッピーカメラの時代から、スチールビデオですね、スチールビデオカメラをしばらくやってました。その後、一旦銀塩カメラの方に移って、そこで「ミューZOOM」、コンパクトカメラをやって、まあもう一度、このDIという部署に戻って、そこで戻ってすぐ「C-900ZOOM」をやらせて頂いて、その次が、この「E-10」という感じです。

国重 私は最初コンパクトカメラのアクティブAFの開発をやっていまして、要素検討から、アクティブAFのICの開発、それをやっておりました。それが終わってからですね、後はコンパクトカメラのIC。ほとんど全部、コンパクトカメラで必要な機能全部を集積したやつを、ICを開発していまして、それで今のコンパクトカメラのほとんどに私のICが載っているかなという感じです。で、そうこうしているうちに、銀塩カメラの方から、離れることになりまして、フィルムスキャナ。あの、「ES-10」ではお世話になりました。あれで、一旗上げようということでやってたんですけども、クビになりまして、デジタルカメラの方に渡ってきました。今は、デジタルカメラの企画関係ですね、これをやっています。

宮内 私は、入社以来ずっとレンズ設計の方を担当していまして、まあ、さっき話しありましたように、ずっと銀塩をやって、ちょっと覚えていらっしゃるか分かりませんが、「i-ZOOM」の最後の方と、OZシリーズ、ミューシリーズ、まあ大体ちょちょってやらせていただきました。それで、もういいよという感じでですね、「C-2000」のコンペは一応設計自分でやりました。その後はですね、ちょっと雑用係のようになりましてですね、今回「E-10」の方はですね、私のチームのメンバーで、設計、光学撮影レンズ、ファインダーレンズの設計をして、私はどちらかというと、要するに技術とか、先ほど出たフォカシングスクリーンの他部署との調整、という形で。今、自分で設計というのはないんですけど、全体を見るという感じでやっています。

伊東 私も、入社以来ずっと銀塩をやってまして、交換レンズを2年くらいやりましたかね、入社してから。それから、「XA-3」、「XA-4」、「イズム300」とか「L−10」とか、「ミューズーム140」ですか、までやって、「C-2000」をやるのに、ごそっと銀塩から来たんですが、その一員として行きまして、「C-2000」を立ち上げまして、その後は、カメラのレンズのチームで、それ以降のレンズは、うちのチームでやってますので、今回も「E-10」のレンズ、まあレンズといっても、中のシャッターからなんかからそれも全部やっているようになってる。ということですね。

山田 交換レンズって、どの辺りを、具体的にやったんでしょう。

伊東 私がやった交換レンズは、マクロレンズでですね、20mmマクロとか、38mmマクロって、エクステーションテープに付けて使う、1倍以上の本当にマクロですね、そういうレンズをやってましたね。それのシステムで、ストロボとかですね、ああいうのをちょっとやりました。マクロレンズのシステム関係のところを少しやったというとこですかね。入社当時なんで、あんまりたいしたことやってなかったはずなんですけど。

朝倉 ただ、伊東はそのレンズに近いところを、やってますね。

伊東 そうですね。

山田 じゃあ、レンズ名に「ズイコー」とか付けたくなりません?(笑い)

伊東 そうですね。ずっと「ズイコー」でしたからね。時々そういうお話がありますよね。雑誌とかでも、そういう案といいますか、提案がありますよね。いいですね。いつかは。

山田 レンズの名前が、Gズイコーとかね。(笑い)

鈴木 私、入社した時がちょうど「OM-707」の開発をやっているところで、電気回路の一部をやら...、まあまだ新人だったんで、やらせれてたっていう表現が正しいんですけど、訳も分からず立ち上げて。その後は、コンパクトカメラ系のファームウエアの方をずっとやっておりました。「i-ZOOM」とか「OZ」とかですね。最後にやったのは、「ミュー2」で、あれの立ち上げが終わった頃に、ちょうど「C-1400L」の立ち上げをやってですね、ちょっとファームの方が火吹いてるんで、手伝ってくれといって行ったのが運のつきで(笑い)、そのままこちらの仕事の方に来ました。
 ただ、「C-1400L」を手伝いに行ったときにですね、サービスサイズの写真見たときに、「これ、時代が変わるな」と思ったのも、正直なところで、「これからはデジタルだろうな」と半分自分で手を上げて、来たんですけれども。まあ、実際のところですね、かなりデジタルカメラは、こう急成長っていうこともありますんで、想像以上に厳しかった。「想像以上に厳しいな」と思っている毎日です。はい。

樋口 私は、まだこの中では若い方ですので、実はその、皆さんほど華麗な経歴はないんです。(笑い)最初はちょっとマイナー機種をやっていて、私がやってきたのは、「L-10」と「iZOOM」ですかAPSの。メインは。そこのですね、シャッターとか、フォーカスのドライブ、あと外装部分の一部、そういうののメカ設計を担当していました。で、それがですね、こう言っていいのか分からないんですが、嫌気が差しまして(笑い)、手を上げてDIにやってきまして、今は絵作りをやらせて頂いていると。という次第です。

朝倉 希望して来たと。

山田 元々、フィルムの方が、絵作りってないんですよね。

樋口 全然違うことっやてますよね。

山田 ですよね。

朝倉 カメラメーカー+フィルムメーカーの仕事を全部やってしまえるとこですからね。

山田 そうですよね。後は、写真が自分の趣味だという方。

樋口 私、一応昔ですけど。撮るのは結構好きです。会社入ってからですけどね。

朝倉 私も、会社入る前から、写真趣味だったんですけど、段々仕事でやっていると、趣味なのか何なのか分からなくなってきてですね(笑い)、仕事と趣味の境目がなくなってきて、自分の楽しみで写真を撮ってても、なんか仕事で撮っているような気になっちゃうのは、良くないですよね。趣味で純粋にやろうという身では。私としては。

山田 このメンバーだから、なんか写真好きの匂いがするんですね、この「E-10」っていうカメラは(笑い)。

●コンシューマー価格の上限に抑えたE-10の価格

山田 いいですよね。正直2500の時は高いなと思ったんですけど、今回見て、簡単に買える値段ではないんですけど、それでも、誰が見ても価格相応以上なものには見えるのかなというとこまでは来たんで、すごく良かったなと思っているんですけど。

朝倉 今回、デザインを担当した者は連れて来れなかったんですけれども、デザインを担当した者に対しては、デザイナーに対しては、30万に見えるカメラにしろと。我々もそれに近い外装を造ってやるということで進めてきました。値段というのは、どれだけ売れるか台数によってかなり変わりますので、たくさん出来れば30万のボディーでも、198,000円でも値段つけれると、そういうことを考えていますので、そう進めてきました。

山田 当初の目標価格というのはあったんですかね。

朝倉 当初の目標価格ですか。それはありましたけど。

山田 どんなもんなんでしょうか。

朝倉 どんなもんなんでしょうね。どちらかというと小島の方が決めるので、聞いてみてください。

小島 いや、当初の価格通りですよ。まあやっぱりデジタルカメラで、10万円の価格というのは、ひとつずーっと造り続けてきて、やっぱりそこからひとつ上限まで挑戦したいという、ただし20万円はどうしても超えてはいけないというところが、コンシューマー、カムコーダーなんかも本当の意味ではやっぱり20万というところがね、やっぱりあれでしょうから。そういう意味で、こういう持ち歩く道具としては20万がコンシューマー価格の上限だろうと。大体そうゆう風に読んでおりまして、だからそれ以上はコンシューマーとは言わない。コンシューマーもそこまでは来て欲しいというところで、やっぱり従来の銀塩だけの感覚で、F1ならこのくらい出すけど、という人ばかりではなくて、もう少しこんな時代ですから、背伸びしてもらって、良いものはこのくらいまで出してあげるよ、みたいなことに答えられるようなカメラにしたいと。

山田 もしかしたら、オリンパスの歴代モデルの中で、一番高いですよね。

小島 一番高いですよ。

山田 ですよね。銀塩を含めて。

小島 銀塩を含めて。はい。まあ、挑戦は挑戦ですけど。やっぱり、その高いところというのはひとつのブランド。ブランドがね、こういう高いのがいいのかどうか。このブランドではやっぱりこれだけは払わないというのがありますからね。そういう意味ではずっと、結構このデジタルについてはこだわって、こだわってなるべく良いものをずっとだし続けて来まして、高いところもずっと出し続けてきて、まあひとつのまたジャンプだという意味でこれを出したんですけど。

山田 そういう意味では、成功しましたよね。

小島 是非、成功して欲しいですね。今のところ、おかげさまで良い受注状況ですけど。

(2000年11月10日公開)
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【第2部】


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