山田久美夫の
Digital Camera Column



「ネット通販でデジタルカメラの楽しさは伝わるのか?」

(1999/12/26)


●ネット通販 v.s. 小売店

 アメリカで広く普及しているインターネット通販。しかし、メーカーが直接販売するケースと、店舗を持たないネット通販専門業者、さらに、一般店舗による小売り業者との関係が問題となっている。
 とくに小売店にとって大きなネックとなっているのが、店舗を持たないネット通販専門業者で、人件費や営業費用といった部分を削減することで、小売店では実現できないような価格を実現しており、それを最大の売りにしているわけだ。
 もちろん、最近では小売店側も、この価格に対抗しようとはせず、むしろ、大型チェーン店などでは、店舗販売とは別にネット通販に取り組むケースもかなり増えてきている。
 そこで問題になるのが、製造メーカー自身によるネット通販といえる。
 なかでも早くからインターネットに積極的で、しかも、小売店とも関係が深いコダックの動きは、小売店にとって大きな関心事となっている。
 とくに、デジタルカメラにようにインターネットユーザーがメインターゲットになる商品では、この点が深刻な問題になっているわけだ。


●自社ネット専用セットで差別化を図る「Shop@Kodak」

 そこでコダックは、自社のページの通販ページである「Shop@Kodak」で扱う商品に関しては、小売店の店頭販売価格よりも安いプライスを付けていない。だが、「Shop@Kodak」では、このページだけでしか入手できない「DC215ZOOM」のカラーバージョンや、別売となっているオプションをセットにした商品を中心に扱うことで、小売店との摩擦を避けているわけだ。

 だが、この記事を掲載しているPMAIは、写真系の卸業者や小売り業者が数多く加盟している団体だけに、Kodakのホームページでの、デジタルカメラの販売店リストの扱いに関して、「販売店リストのページに行き着くための各ページには、必ず「Shop@Kodak」という目立つロゴがある」と皮肉っている。


●ネット通販のメリット

 インターネットが次第に日常化しつつある現在、デジタルカメラに関する情報を入手する手段としてメーカー系のページが広く利用されている。だが、そのページに、そのメーカー自身が運営するネット通販メニューがあり、それに大きなメリットを見出したら、小売店にいちいち足を運ぶことなく、その場で、メーカーから直接購入してしまうケースは十分にある。そして、今後、この比率が急速に高まってゆく可能性も十分にある。

 米国のように、国土が広く、製品の現物を見ることがきわめて困難な環境下で生活している人が多い国では、いちいち遠方の小売店にゆくよりも、ネット通販で購入するほうが現実的だ。また、アメリカでは一部のカメラ専門店を除けば、小売店といえども、きちんとした商品説明が受けられるとは限らない。とくに、デジタルカメラのような製品は、説明が必要な部分が多いため、郊外のディスカウンターなどが苦手とする商品になりつつある。

 日本の場合も、首都圏では多くのデジタルカメラを店頭で確認しながら購入することができるが、誰もがそのような環境下にあるわけではない。さらに、地方の小売店の場合、まだまだデジタルカメラに対して積極的な展開をしていないケースや、小売店側の知識不足が問題なるケースも多い。


●デジタルカメラの最大の魅力は”楽しさ”

 デジタルカメラはまだまだ未成熟な商品であり、カタログやホームページだけの情報で、そのカメラのよさがきちんと理解できるわけではない。むしろ、現物を手にしてみると、ガッカリするような質感や操作感のモデルもある。また、液晶表示の遅さなども現物を見ないと、なかなか理解できない部分といえる。
 その意味で、私自身は、デジタルカメラの購入を検討する人には、できる限り、現物を店頭で見てから決めた方がいいとアドバイスすることにしている。また、優秀な販売店であれば、店員から生の情報を得ることができるので、それだけでも、小売店にわざわざ足を運ぶだけの価値が見いだせるはずだ。

 とくに、今後のデジタルカメラで大きなポイントになってくる、”楽しさ”といった部分は、実物を手にして初めて体感できるものといえる。


●ネットもお店も同じじゃ、つまらない!

 日本でも近い将来、ネット通販がさらに普及することは明らかだ。もちろん、ユーザーにとって、小売店で購入するのも、ネット上で購入するのも、等価なものと感じられるのであれば、どちらでも便利な方で購入すればいい。

 もちろん、日本でもネット通販を展開し始めたコダックは、本国同様、自社のホームページ上でしか購入できないデジタルカメラの販売を開始している。さらにリコーなどはネット販売専用のカラーバージョンなどをいち早く導入し、小売店との差別化を図っている。

 また、ごく一部ではあるが、小売店側もデジタルカメラの便利さや楽しさがきちんと伝わるような商品説明を心がけているところもある。

 デジタルカメラは多くの家電製品のような、実用性重視なだけの道具ではない。単に便利なだけではなく、それを使うことによって、”新しい写真の楽しみ方”が広がる、とても夢のある製品といえる。

 ネット通販が広がることで、これまでよりも、さらに手軽に、いつでも購入できるようになることは実に喜ばしい。だが、デジタルカメラの楽しさは、それを体感した人でなければ伝えきれない部分がある。

 やはり、私は、その”楽しさ”が自然に伝わるような素敵な会話を交わしながら、手渡しでデジタルカメラを購入したい。逆に、そんな会話ができないような販売店で買うくらいなら、いっそ、ネット通販でサッと購入してしまった方がスッキリするかもしれないが・・・。


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