山田久美夫の
Digital Camera Column



「一気にブレイクするか!? アメリカのデジタルカメラ市場」

(1999/12/24)


デジタルカメラの今後の動向を大きく左右する、アメリカ市場がようやく動き始めた。

アメリカの市場調査会社である「NPD INTELECT」のレポートによると、1999年10月に販売された50ドル以上のカメラの19%がデジタルカメラだったと報告している。昨年同時期は7%だったのに対して、著しくアップしているという。


●専門店では売り上げの1/3がデジタルカメラへ

 同社によると、デジタルカメラは、1999年1月から10月までのセールが6億7700万ドルに達しており、前年の52.5%もの増加。とくにカメラ専門店では、デジタルカメラがブームになっており、売り上げの1/3を占めるまでになったとしている。

 また、北米での市場シェアは、台数ベースで見ると、ソニーがトップで、次いでオリンパス、コダック、ニコンとなっている。また、金額ベースでは、ソニー、オリンパスに次いで、ニコン、コダックとなっており、高価格帯のモデルが中心のニコンが第三位となっている。

メーカー名 台数ベース 金額ベース
ソニー 40.9% 50.4%
オリンパス 20.3% 16.2%
コダック 10.7% 10.5%
ニコン 6.8% 10.7%



●次に買うのは、やっぱりデジタル!

 さらに、Web上で行われた市場調査結果によると、サンプルとなった22,429人中、43%の人が6ヶ月以内にカメラ(全般)を購入する計画を持っており、そのうちの72%の人がデジタルカメラを対象としているとレポートされている。
 そして、全体の14%のユーザーがデジタルカメラをすでに所有しており、これまで銀塩カメラを持っていた人も、その40%がすべての撮影をデジタルカメラでおこなっているという結果を報告している。

 また、デジタルカメラユーザーの半分(49%)が、個人で使用のみと答えている。利用用途としては、38%がWeb上での写真利用、83%の人はE-MAILにより写真のシェアをしている。さらに、1/3の人が、マグカップやマウスパッド、グリーティング・カードやギフト用にデータを利用しているという。そして、デジタルカメラの利用者の70%はパソコン上で写真を処理しているとしている。


●ようやく始まった大ブレイク

 アメリカでの年末商戦の目玉商品の一つになった感のあるデジタルカメラ。しかも、50ドル以上のモデルの約20%がデジタルとは、驚きだ。また、これまで北米では、ビジネスユーザーが中心になっていたが、今回の調査結果ではパーソナルユースがかなり広がっていることが大きな特徴といえる。

 シェア的には、いまだにソニーがダントツ(ほとんどがデジタルマビカ)だが、オリンパスも以前のコダックを抜いて2位。さらに、ニコンが第4位と、金額ベースではコダックに並んでいるあたりもスゴイ。このあたりは、北米でのNikon人気の高さもあるが、カメラの質感などにこだわるアマチュアユーザーが増えているのも、その大き
な要因といえそうだ。

 また、ユーザー調査でも、今後デジタルカメラを購入する人が増えて行くのは確実であり、購入者の40%がデジタルカメラがメインになっている点も注目に値する大きな動きといえる。


●50ドル以上を"High-End Cameras"と分類する米国の特殊性

 実は、このレポートには大きな落とし穴がある。それは、調査時のカテゴリー分けとして、50ドル以上のカメラを対象としており、それを"High-End Cameras"と分類している点だ。

 おそらく、日本人の感覚では、「きっと、"High-End Cameras"だから、500ドルの間違いだろう・・・」と思うに違いない。だが、米国の現実は違う。50ドルで正解なのだ。

 というのは、米国市場では49ドル以下のコンパクトカメラがブリスタパック形式で、幅広く販売されている。まあ、日本でのレンズ付きフィルムがそれに相当すると思えばいいだろう。そして、この市場は、かなり大きく、ごくごく一般的な庶民にとっては、この程度のカメラで事足りると感じる人がかなり多い。
 つまり、日本でレンズ付きフィルムを購入しているユーザーは驚くほど多く、販売数で見ると、コンパクトカメラの10倍以上もあり、「写真を撮る道具」として考えた場合、レンズ付きフィルムを含む50ドル以下のカメラの占める割合がかなり大きなものといえる。

 もちろん、このような低価格モデルは、カメラ専門店ルートで販売されるケースは少なく、コンビニやディスカウントショップなどがメインといえる。

 デジタルカメラが本当の意味で"銀塩カメラに取って代わる"のは、この50ドル以下のカメラに対抗できるレベルになったときといえる。もちろんそれは、必ずしもプライスが50ドル以下である必要はなく、それ相応の付加価値が加わったプライスになる可能性は十分にある。だが、それでも、アメリカ市場ではやはり100ドル台がいいところだろう。

 ここにきて、アメリカでは149ドル以下のデジタルカメラが多数登場してきている。しかも、このクラスのモデルはWal-Martなどで結構売れ始めているのも現実だ。また、先だってのCOMDEXでは、アプリケーションとセットで99ドルという超低価格モデルまで登場してきており、来年には、ある程度の機能を備えながらも、99ドル前後のプライスを実現するモデルが登場する可能性も大いにある。


●日本メーカーは実を取るか、名を取るか・・・

 もちろん、この価格帯で主役となるのは、日本メーカーではなく台湾メーカー。しかも、日本のデジタルカメラ系メーカーは画質や機能などにこだわるため、このようなモデルを自社ブランドとして販売するのを嫌うが、海外の一部大手メーカーは、その限りではない。むしろ、これを一種のビジネスチャンスとしてシェアの拡大を図るという戦略をとる可能性も十分にある。

 どうも来年の米国は、299ドルを境に、それ以上は日本系メーカー、それ以下を台湾勢(OEMを含む)になるような気がしてならない。

 もっともこの構図は、現在でも、米国のコンパクトカメラの世界では日常化しているものなのだが・・・。

(end)


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