双子の母馬が来て、同じ小山の草を食み続ける。
子供達は顔の白い線まで、母親そっくりである。
父馬は、どんな馬なのであろうか?
尻屋にいる寒立馬は、仔馬を除き全てが牝馬である。
春先に一頭の牡馬を連れて来て、しばらくの間、放し飼いにする。
そのたった一頭の牡馬が選んだ雌だけが、翌春に仔を産むという訳である。
もしも仔馬に牡馬が産まれたとしても、二年後には親元から離され、食肉用や種馬としての運命を辿る。
農地開墾に馬が利用された時代は、この最果ての地でも昭和40年代までが限度であったらしい。
とても短い一過団欒の時を、馬たちは過ごしているのだ。