デジタルカメラ・ジェーピー

2010年11月10-12日

キヤノン

4Kカメラや高精細ディスプレイ、1.2億画素CMOSやメディアサーバーなど参考展示した
5年に一度開催される招待者向けのプライベートイベント「Canon Expo Tokyo 2010」開幕


●キヤノン
4Kカメラや高精細ディスプレイ、1.2億画素CMOSやメディアサーバーなど参考展示した
5年に一度開催される招待者向けのプライベートイベント「Canon Expo Tokyo 2010」開幕

-ニューヨーク、パリで開催された、キヤノンの最新技術や今後の展開を招待者向けに紹介する展示会「Canon Expo Tokyo 2010」が本日より開幕。12日まで都内で開催されている。
-このイベントは、5年に一度開催されるもので、いわば、今後5年間の同社のビジョンと最新技術を紹介するものといえる。
-招待者のみのイベントであり、他社の幹部や取引先など関係者向けのプライベートイベントである。
-このCanon Expoでは、普段見ることも、知ることもできない、同社が開発中のプロジェクトや最新技術、近い将来、製品化される可能性のあるものなど、対外的に紹介する、興味深いイベントだ。
-招待者といえども、会場内での撮影や録音などは不可で、プレスのみ撮影が許されるレベルだ。
-5年前のイベントでは、当時どのメーカーも製品化していなかった、笑顔検出による撮影技術や独自開発の有機ELディスプレイ、SEDを中心としたワイヤレスによる画像転送とホームメディアサーバーへの自動保存など、最先端の技術を展示し、デモを展開していた。
-各展示コーナーには、プロトタイプなどが展示され、動作しており、担当エンジニア本人が説明員として対応。細かな質問にもできる限り対応するという、他に類を見ないイベントといえる。
-基本的には、先だって開催された、ニューヨークとパリでの同Expoと同じ内容だが、いずれも日本国内では初公開となるものばかり。今回はレポートの第一弾として、トピックスになるものを紹介する。


自社開発2/3型CMOSを搭載した
20倍ズーム一体型の超高精細な4K対応マルチパーパスカメラを参考出品

-超高精細な4K/60Pの動画撮影が撮影できる、マルチパーパスカメラ。
-撮像素子には2/3型の自社開発CMOSセンサーを搭載。
-レンズは一体型の20倍ズームの「7〜140mmF1.8〜3.8 L USM」を搭載。レンズ交換は不可。
-まだ試作機だが、きちんと作動しており、4Kの高精細な動画映像を映し出していた。
-センサーサイズは、業務用カメラでポピュラーな2/3型を採用しているため、カメラ本体はもちろん、20倍ズームもリーズナブルなサイズに仕上がっている。
-センサーからの出力は120fpsで駆動しており、HDRでの60fps動画などの機能も考えられそう。
-本来はスタンドアローンで動くのだが、試作段階のため、今回はボディー下部にあるユニット経由で動画をRAWデータで出力しているという。
-記録媒体についてはノーコメントだが、スタンドアローンで使えることを考えると、なんらかのメモリーなどに記録することになるようだ。
-とくに、”業務用”という説明はなく、マルチパーパスカメラという表記になっており、必ずしも、業務用途だけのカメラではない点を強調。
-価格について訪ねると、もちろん、未定という答えだったが、業務用ビデオカメラのような、全く手の届かないレベルではない雰囲気だった。
-近い将来、このような映像がごく一部の業務用途だけでなく、より多くのユーザーの手に渡る時代になると思うと、ワクワクしてしまう。

-実は、この4Kマルチパーパスカメラの出力表示に使われていたのが、キヤノンが開発した業務用の8メガ超高精細30インチLCDディスプレイ。
-もちろん、参考出品で、日本国内初公開となるもの。
-このディスプレイに表示された、このカメラでの4K映像は、これまでのフルHD動画とは全く次元の違う世界。
-具体的にいえば、超高精細であるだけでなく、きわめて自然な立体感が感じられる。まさに、”動く静止画”とでもいうべきもので、その映像を見ていると、なぜか目頭が熱くなるような感動を覚える。

独自画像処理エンジンを搭載したAdobeRGB対応の
超高精細 8K (4000×2000)対応の30型業務用LCDディスプレイを参考出品

-今回のExpoでは、キヤノン初の本格的な高精細LEDディスプレイを参考出品。
-本機は「新たな事業の可能性」というエリアで紹介されており、今後本格展開する可能性の高い製品分野として紹介されている。
-そのフラッグシップとなるのが、業務用の8メガピクセル(約4000×2000)の30型LCDディスプレイ。
-AdobeRGBやデジタルシネマ用の色域をカバーした広色域のもの。
-視野角も広く、画面内の画像均一性も高いレベルを実現しているという。
-基本的には、TVのような映像観賞用というよりも、画像処理や編集、画像確認用という位置づけ。
-液晶パネル、バックライトについては「自社開発かどうかは、ノーコメント」ということだが、画像処理エンジンについては自社開発のものを搭載しているという。
-本体の厚みは、最近のディスプレイとしては結構厚手であり、バックライトは独自の工夫が凝らされている可能性もある。
-本体横を見ると、多数のスリットがあり、縦使用時の放熱を配慮しているようにも見える。
-会場では、このディスプレイが多数活用されており、すでに実戦配備しているような印象で、製品化はさほど遠くない時期に感じれる。
-参考出品のため、価格帯についてのコメントは得られなかったが、やはり”業務用価格”になる模様。
-その映像再現力は圧巻。表示ソースには、EOSで撮影した静止画と、NHKの超高精細ビデオカメラや4Kカメラで撮影した高精細なムービーも含まれており、いずれも目を見張るレベル。
-その映像は、単に超高精細という言葉では語りきれない、得も言われぬ立体感や奥行き感があり、リアルというよりも、むしろ実に自然なものに感じられる。できることなら、いつまでも、ずっと眺めていたい、実に心地いい映像世界を再現できるディスプレイだ。

-写真編集やデザイン、印刷の色校正向けカラーマネージメント用ディスプレイは2種を参考出品。
-4メガピクセルの30型液晶と、3メガピクセル表示の21型液晶があり、AdobeRGB対応。
-こちらも液晶パネルとバックライトはノーコメントで、映像エンジンは自社という。
-もちろん、通常の作業であれば、こちらのタイプで十分。価格も8メガ版よりこなれたものになる模様。
-試作品での参考出品ということだが、細部を見ると製品版に近いイメージであり、そう遠くないタイミングで製品化されても不思議ではないだろう。

-動画編集用としてフルHD対応の17型タイプも参考出品。
-こちらは、EBUやSMPTE-C、ITU-R BT.709など動画系の色域を正確に再現するという。
-17型だけに本体サイズも比較的コンパクト。このサイズなら、映像撮影の現場用モニターとして活躍しそうだ。

カメラを置くだけでワイヤレスで充電とデータ保存が可能な
大容量HDD内蔵でHDTV出力可能な静止画・動画対応の「クロスメディアステーション」を参考出展

-2005年のCanon Expoでも参考出品された、ホーム向けメディアサーバーの発展系といえる「クロスメディアステーション」を参考出展。
-一眼レフやコンパクトカメラ、ビデオカメラなどを、本機の上に置くだけで、映像をワイヤレスで保存するだけでなく、さらに充電までも可能。保存された映像はHDTVなどで簡単に閲覧できる、パーソナルコンテンツに特化したメディアサーバーだ。
-カメラ底部のアダプターを装着した状態で、カメラをステーションに置くことで、転送と充電のトリガーとなっている。そのため、カメラを置くだけで、他の操作は必要ないという。
-現在はまだ試作機段階であり、カメラのデータは、カメラ底部にあるアダプター経由で、WiFi (11n)で転送しているという。既存技術である「TransferJet」方式の場合は置く位置を限定する必要があるので、今回はWiFiにしたという。
-充電は電磁誘導方式を採用しているが、現在はまだ、充電効率が課題になっており、商品化はさらに効率が高くなってからになるという。
-データの保存は内蔵の大容量HDD。データのバックアップについては、ネット経由でのクラウドなども考えられるという。
-背面にはUSBスロットもあるため、外付けHDDやディスクメディアへの保存もできそうだ。
-本機に記録された映像は、HDMI経由でHDTVでの表示が可能。
-DNLAなど家庭内ネットワークにも対応しており、同規格対応機器からの閲覧も可能になる模様だ。
-製品化については、ワイヤレスでの充電などでまだまだ課題があり、時期は未定という。
-だが、現状でも、カメラで撮影したパーソナルコンテンツをターゲットにした、家庭向けメディアサーバーはなく、WiFiでのデータ転送によるHDD保存と、HDTV表示やネット接続だけでも十分に魅力的。
-本機から充電機能を省いた製品でもいいので、第一弾を早期に製品化して欲しいところだ。

超高精細な1.2億画素APS-HサイズCMOSセンサーを出品。実写プリントも展示
-先だって8月24日に開発発表された、世界最高画素数の1億2,000万画素(13,280×9,184画素)のAPS-HサイズのCMOSセンサーを出品。
-まさに超ド級の画素数だが、読み出し速度の速く、フル画素で秒9.5枚の高速撮影が可能。
-4K2Kの動画撮影でも秒15フレームの読み出しが可能であり、任意の範囲をフルHDの60fpsで読み出しが可能だ。
-画素ピッチは2.2ミクロン。一眼系から見ると微細だが、コンパクト機用センサーよりも画素ピッチに余裕があるレベル。そのため、実効感度やS/N比については、十分に実用レベルになるようだ。
-会場では、画像の部分読みだしでの動画デモも展開していたが、やはり圧巻だったのが、実写プリント。EFマウントを採用した、このCMOS搭載の超多画素パノラマカメラの試作機も展示。
-巨大なサイズの実写プリント(写真下中央)だが、かなり近づいても、ビクともしない解像度を実現。その中央部(写真下右)だけを見ても、そのまま普通の写真として成り立つレベルだ。
-もっとも、レンズの解像度はかなり高いレベルを要求されるようで、この実写サンプルも特殊なレンズを装着して撮影したという。
-また、以前から気になっていたのだが、「なぜAPS-Hなのか?」とセンサーの説明員に訪ねると「理由があると思うのですが、実は私も不思議なんです」という答えだった。
-このセンサーは本来は超高解像度のワイド系レンズなどを装着して、部分を動画切り出しすることで、監視用途などに使われることを考慮したもののようだが、これだけの実力があれば、APS-Hサイズの「EOS-1D mark IV」に搭載した、超高解像度のスペシャルモデルも検討して欲しいところだ。

未発表の小型昇華型プリンターや顔料系12色A3インクジェットプリンターを展示
-今回のExpoでは、2種類の新型フォトプリンターを参考出品。
-両製品ともに、写真撮影は不可なので、外観を掲載できないので、概要のみを紹介したい。
-本格的な作品創りに耐える、インクジェット方式のA3ノビクラスの顔料系プリンターを参考出品。
-このモデルはおそらく、「PIXUS 9500」シリーズの後継機になるもので、12色の顔料系の新カラーインクを搭載。「世界最高峰の写真画質を実現」と紹介。
-外観は現行機に似たイメージの本格指向。プロカメラマンからスタジオまでサポートする機種という。
-プリントサンプルはマット紙に出力されたモノクロプリントと、光沢系のカラープリントが展示されており、いずれも上質なもの。モノクロは階調性もよく、黒の色調も自然で上質なもの。カラーは顔料系とは思えない、良質な染料系プリンターのような色調と光沢感を備えていたのが印象的。
-一方、小型プリンターながらも、一眼レフユーザーでも安心して使えるクォリティーを備えた昇華型プリンターも参考出品。
-本機は昇華型ながらも、広めのインクリボンを採用。用紙サイズを変えることで、正方形や4:3、3:2、16:9などマルチアスペクトでのプリントが実現できるという。
-また、本機でプリントしたものを装丁することで、簡単にフォトブックを作成することもできるという。
-もちろん、両機ともに詳細は不明だが、比較的近いタイミングで正式発表されるのは確実だ。


●キヤノン [イベントレポート(Vol.2)]
5年に一度開催される招待者向けのプライベートイベント「Canon Expo Tokyo 2010」閉幕
-5年に一度開催される、キヤノンのプライベイトイベント「Canon Expo Tokyo 2011」。
-招待者向けのみに公開された同イベントは、同社の最新技術と今後の方向性を示した、実に充実した内容だった。
-初日は関連各社の要人の姿が見受けられ、かなり混み合っていたが、2日目は中日で比較的空いていた印象。だが、3日目は金曜日で最終日ということもあり、初日を大きく上回るほど会場は混雑していた。
-今回は前回のレポートでお知らせできなかった出展内容について追加レポートをお届けするが、あまりに内容が豊富なため、さらに2回に分けて紹介したい。

デジタルカメラやプリンターのデザインスケッチやモックアップを展示
-Expoでは普段見ることが難しい、デザインスケッチや試作機が展示されている。
-今回は「EOS 7D」と「IXY 30S」の試作機やスケッチが展示されていた。
-じっくりと見てゆくと、思考の過程やデザイン上の留意点などを知ることができる、貴重な資料だ。

3D撮影システムと鑑賞システムをデモ
-会場入り口にほど近いカメラ関連エリアでは、動画撮影デモや3D撮影システムを展示。
-3Dは既存のビデオカメラ2台を使ったもので、3D表示をするプロジェクターも既存の製品を2台用意し、3D用ユニットを加えたもので、専用機というわけではない。
-3D展示は意外に目立たない場所でデモが行われており、全体にさほど力を入れていないような印象だ。

フルHDプロジェクター4台を使った「4Kシアター」を展開
-今回の注目は前回レポートで紹介した、4Kのマルチパーパスカメラ。その高精細な映像を表示していたのが、4K対応のシアターシステム。
-これは同社のフルHDプロジェクター「WUX10 MarkII」を4台使ったもの。つまり、フルHDの4倍となる4K映像を4分割して、4台のプロジェクターで投影するわけだ。
-「WUX10 MarkII」の場合、光学系の歪曲収差がきわめて少ないため、合成時のブレンディングも用意だという。

屋外ディスプレイも可能な参考出品の大判プリンターも展示
-今回のExpoでは、大判プリンターも参考出品。
-なかでも注目は、参考展示の「屋外耐候水性顔料系プリンター」。
-このプリンターは屋外などでの大型ディスプレイを作成するためのもので、デモではプリント素材に紙ではなく樹脂系フィルムを採用。
-さらに、このプリンターには上部に乾燥部(写真右上)があり、プリントしたものを即座に乾燥させて出力するのが特徴。そのため、乾燥の遅い素材でも安心してプリントでき、プリント後の扱いも容易だ。
-会場ではこのプリンターで出力したフィルムを使って、クルマを丸ごと装飾したものも展示していた。

撮影からプリントまでを集中管理できる、ポートレートスタジオ向け撮影支援システムを公開
-Expoでは、ハードウエアだけなくソフトウエア側でのシステム展示も行われていた。
-ここで紹介しているのは、大規模なポートレートスタジオ向けの撮影支援システムだ。
-これは撮影からプリントまでを一括管理するシステムで、EOSでRAW撮影し、今回出展された同社のモニターで表示し、同社のプリンターでプリントするもの。
-カメラも集中管理されており、自動的にそのシーンに応じた設定になる。撮影された画像は即座にWiFi経由でモニターに表示され、撮影された本人も一緒に見て、セレクトすることができる。
-また、モニターを見ながら、顧客の要望に応じてDPPやPhotoshopで画像編集が可能。
-さらに、フォトブックへのレイアウト結果なども即座にみられるなど、安心して短時間に、撮影から出力までの一貫した処理をすることができる。

-さらにカメラメーカーならではの展開として注目されるのが、「カメラ設定値集中管理システム」。
-これは、大規模スタジオチェーンなどで、各店のスキルに依存せずにカメラや撮影結果を管理できるもので、遠隔地からでもカメラの設定値を集中管理できるシステム。
-ネット接続されたPCとカメラをUSB接続するだけで、カメラの設定値や累積撮影枚数など本部などで集中管理できるもの。もちろん、リモートでの仕業点検も可能だ。
-さらにチャートを撮影した画像を送ることで、カメラの状況を把握。正しいパラメータをネット経由でカメラに書き込むといった、カメラメーカーならではの機能も備えている。

光沢感や紙質、紙厚など、プリントの質感シミュレーションのデモを展開
-近年はいわゆるソフトプルーフ化が進んでいるが、さらに実際の印刷時の仕上がり具合がよりわかりやすいよう、印刷素材の光沢感や紙質、紙厚までも、ソフト的に表示するデモを展開。
-このソフト上で紙質を選び、モニター上に表示される映像を動かすと、それに応じて表面の反射が適時シミュレートされるもの。予め紙のデータを登録しておくことで、紙の表面が光沢系なのか、マット調なのかで仕上がりの違いが事前にわかる。
-さらに、ブックレット表示では、紙をめくる動作をモニター上でシミュレートすることで、紙の厚みを表現。これにより、ブックレット注文時の紙質指定や顧客への説明も容易になるという。

同社提供番組の紹介コーナーも設置。EOS MOVIEによる「世界の街道をゆく」の機材も紹介
-会場では、同社のおもな提供番組を紹介するコーナーもあった。
-日本の写真家を人物と実際の撮影風景や作品とともに紹介するドキュメント番組「写真家たちの日本紀行」をはじめ、「奇跡の地球物語」「世界の街道をゆく」などを紹介。
-「写真家たちの日本紀行」ではこれまでの登場した写真家のリストとロケ地を紹介。
-全編をEOS MOVIEで撮影している「世界の街道をゆく」では、具体的な撮影機材を紹介。
-機材やレンズはもちろん、実際の取材用の写真もあり、動画ロケとして、意外なほど軽量コンパクトな機材で撮影されている。





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